保護犬譲渡活動レポート Vol.8

保護犬譲渡活動レポート

保護犬『ピコ』の物語

ペッツファーストでは、保健所などから引き取った保護犬・保護猫の里親さんを探す活動を行っています。
どの保護犬・保護猫も、縁あってペッツファーストで引き取った、大切な「ペッツファーストの子」たちです。

その中でも特に、私たちの心に残っている保護犬がいます。
茨城県の保健所から引き取り、約半年間で4回にわたる手術を施してやっと里親さんの元へ送り出した子で、名前は『ピコ』

今回の保護犬譲渡活動レポートVol.8では、
そのピコが私たちと出会い、一緒に時間を過ごし、そして家族に迎えられるまでの物語をご紹介します。




「保護犬『ピコ』」の物語

10歳のおじいちゃん犬、『ピコ』。
ピコはかつて、迷子になったところを保護された「保護犬」でした。

◉ 今回の保護犬 ◉

 ピコ[ミックス♂・推定10歳]

「ピコ」という名前は、茨城の保健所で保護された時につけられた名前です。

ハワイ語で「中心」や「山頂」と言う意味があり、「大切な場所」を指す言葉でもあります。

その名の通りピコは、私たちと里親さんの縁を繋ぐ「中心」になってくれました。

2020年2月:「保護犬『ピコ』」との出会い

ピコと私たちが出会ったのは、2020年2月のこと。
茨城の保健所からピコを引き取った時、帰りの車の中でピコはケージを嫌がってずっと暴れていました。

ピコがいつか、愛してくれる家族と出会うまで。
ペッツファーストの子として、一緒に過ごす日々が始まりました。

ペッツファーストで過ごした日々

ピコは、これまでの保護犬の中でも家族に出会うために準備に時間がかかり、ペッツファーストで長く過ごした子でした。
特に品質管理センターの治療棟では、去勢手術に始まり、2度の腫瘤物(できもの)切除手術、歯の治療など、約4ヶ月間を過ごしました。

その時の様子をよく知る建部看護師は、ピコのことを次のように語ります。

とにかくお散歩が大好き!ケージは大嫌い!

ピコはケージの中で暴れて歯を折るくらいケージを嫌がったので、治療棟の中である程度自由にさせていました。狭い所や束縛されるのをすごく嫌がるので、元々は広い所で過ごしていたのかなと思います。今までケージに入った経験が無かったので、「何だこれは!」という感じで嫌がったのかも知れません。

散歩はすごく好きで、散歩の時だけテンションが上がっていました。治療棟では子犬子猫のお世話もあるので、ピコの散歩の時間が遅くなってしまって1日1回しか行けないこともあったのですが、そんな時は「散歩に行きたい!」と私たちを追いかけ回していました。また真夏だったので、「暑いし足も火傷してしまうし、今は行けないんだよ」と言っていたら、ストレスから治療棟で急に漏らしてしまうこともありました。

性格はまるで、自由奔放な「頑固おやじ」

警戒心が強くて、縛られたくない。自由奔放な子です。あまり人に心を開くタイプではなく、散歩の時以外は自分から人に寄っていきませんでした。でも朝みんなが出勤して来ると、少し嬉しそうに「おはよう」って挨拶してくれました。

年齢を考えても、人間で言うとおじいちゃんなので、「頑固おやじ」って感じです。ピコは犬歯が全部削られていたので、よく噛む子だったのかも知れません。元々の性格として気性が荒いところがあって、年齢を重ねて丸くなって、今は頑固おやじなのかな?と思っています。(笑)

でもその割に、やきもち焼きな一面もありましたね。一度スタッフが自分の犬を連れてきたことがあって、その子を全員で可愛がっていたら、ピコがその子を噛もうとしたんです。これまでうちにいる子犬子猫に対しても、匂いを嗅ぐくらいで何もしなかったし、私たちに構ってアピールをしたこともないのに、その時だけは怒っていました。ここに長くいたから、「自分が一番でしょ?」と思っていたのかな。人間だったら「めんどくさいやつ」ですよ。(笑)

ピコとの思い出と、今願うこと

長年この仕事をしていますが、ピコの性格だけは本当に、最後までよく分かりませんでした。
でも長い間ここでお世話していたし、スタッフみんなで大切に可愛がっていたので、とにかく幸せになってほしい
願うことは、それだけです。

2020年9月:「保護犬『ピコ』」から「うちの子『ピコ』」へ

長らくペッツファーストの治療棟で過ごしたピコが、ついに家族として迎えられる日が来ました。

Interview No.8

2020年9月にピコをお迎えいただいた北原さんに、インタビューをさせていただきました。
ピコと出会った時の印象やお迎えを決めた理由、その後の生活の様子や今後の目標についておうかがいし、普段のお散歩の様子を見せていただきました。

「輝いて見えた」ピコとの出会いと、突然のお迎え

ピコをお迎えしたのは、9月14日です。
子犬を見て癒されるのが好きで、普段から麻布十番のペッツファーストにはよく行っていたので、ピコにも3、4回会っています。お店にいるピコは、大きいから子犬たちの中で一際目立っていて、子供たちに撫でられても動じず、落ち着いた様子でした。見た瞬間に賢い子だなというのは分かりました。

その日も、癒しを求めて麻布十番のお店に行きました。ピコをお迎えしようと思って行った訳ではなかったけど、改めてピコを見たらすごく可愛くて輝いて見えて、その場でお迎えを決めました。「保護犬」をお迎えしようとか、そういう意識はありませんでした。ただ、ピコが本当に可愛くて、その性格も好きで、「ピコが」良くて、お迎えしました。もしピコがお店で販売されていたとしても、多分私はピコをお迎えしたと思います。

一緒に暮らしている両親にはピコのことをちょくちょく話していたものの、その日お迎えすることはもちろん言っていなかったので、とても驚かれました。今では2人とも、とても可愛がっています。

ピコとの毎日は、お出かけ三昧、お散歩三昧!

お迎えしても、やっぱり「良い子」

家に連れて帰った後も、お店で会った時の印象通り賢い子で、特に粗相もなく、良い子です。
足の筋肉を強くするために、ご飯はささみやキャベツを茹でたものにサプリを混ぜているのですが、作ったものはちゃんと食べます。お風呂も素直に入るし、成犬ならではの落ち着きがあるので、その点は子犬を育てた時よりも楽ですね。

本当に初めの頃は、やっぱり少し警戒していたのか隣の部屋には入ってこなかったのですが、今はもう慣れきって、私が動くたび家中ストーキングしてきますよ。(笑)

お散歩大好き!何にでも興味津々!

ピコはとにかくお散歩大好きです。どのくらい好きかというと、お散歩用のリードに自分で手足を通すくらい!

外に出ると何にでも興味を持って、すぐに何処かへ走って行ってしまいます。だから小さい子供と同じように、リードに鈴をつけまくっています。(笑) 賢いから、少しするとちゃんと帰ってきますけどね。特に最近は慣れて遠慮が無くなってきたのか、すごい力で引っ張っていくので少し大変です…。

思い出がたくさん

ピコをお迎えしてから、近場だと六本木の芝公園、少し遠出して山梨や白浜にも連れて行きました。相当お出かけしています。(笑) ついにピコ用に車も買ったんです!新車のナンバーは、ピコをお迎えした日にちなんで「914」で申請中です。私はペーパードライバーだったのですが、この子が来たおかげで運転を練習することになって良かったです。

今後の目標

ピコと一緒に富士山に登りたいなと思っています。
「そもそも富士山って犬も登れるのかな?」と思って調べたところ、犬と一緒に登る人もいることが分かったんです。しかも、ピコにそっくりな犬が登頂している写真があって、それを見たら「登るしかない!と思って。最近深夜の公園や砂浜で走り込みして、一緒に体作りをしているんですよ。(笑)

本当に登ることになったら、もちろんピコに無理をさせない程度に、ゆっくり登るつもりです。行けるかどうか慎重に吟味していますが、ピコは足腰が強いから、行けそうだなと思っています。

ーーお迎えからまだ日は浅いですが、様子を見ているだけで、ピコと北原さんが強い絆で結ばれているのが伝わります。
お散歩大好きなピコが楽しそうに自由に歩く姿に、私まで嬉しくなりました。
ピコの家族になって愛情を注いでいただき、ありがとうございます。
これからもピコと一緒に、楽しい思い出をたくさん積み重ねてください!
(富士登山を達成したら、ぜひお写真見せてくださいね^^)

取材担当:ペッツファースト株式会社 広報 森実咲

里親さんへのお手紙

北原様へ

この度はインタビューをお受けいただき、誠にありがとうございます。
ピコが元気でお散歩を楽しんでいる様子をお伺いでき、大変嬉しく思います!
今回は同席できませんでしたが、また機会があればお会いできることを楽しみにしております。
寒くなってきましたので、お体に気をつけて、ピコとお元気でお過ごしください。
何か気になることがございましたら、いつでもご連絡をお待ちしております。

ペッツファースト保護犬担当 助川
北原様へ

ピコの里親になっていただき、ピコを幸せにしていただいてありがとうございます。
お散歩大好き、お出かけ大好きなピコが色々なところに連れて行っていただいている様子を伺って、とても嬉しく思っております。
これからも、ピコと楽しい日々を送ってください。

ペッツファースト看護師 建部

目の前の一頭の幸せを積み重ねて

ペッツファーストでは2013年から保護犬・保護猫の里親さんを探す活動を行っており、これまで1000頭近い保護犬・保護猫たちを家族の元に送り出してきました。

ペッツファーストが保護犬譲渡活動を始めたのは、
ペットを扱う会社として、1頭でも多くの不幸なペットを自分たちの手で減らしたいという思いからです。

私たちにできることは、ほんの小さなことかもしれない。
それでも、保健所に保護犬や保護猫がいなくなるまで、一頭一頭の幸せを見つける活動を続けて参ります。


保護犬譲渡活動レポートVol.8は以上です。
次回の更新は、2020年12月を予定しております。

皆様からのコメント

タイトルとURLをコピーしました